おー、930 25アニバーサリーが帰ってきてる!また会えてうれしいよ!と悠長には言えません。どうしたんですか?
「んー、ちょっとエンジン冷えてる時のアイドリングが不安定なんよ。」
はあ、まあ30年以上前の車だし、完璧にはいかないですよね…。
「絶対治るから。」
さすが社長。たぶん四国じゃ930治すの社長が一番じゃないかと本当に思います。社長が治ると言ったら絶対治ると安心します。でも、微妙なアイドリングの不調。社長でも簡単ではなさそうです。一つ一つ原因になりそうなところをつぶしていきます。
「これもかなりくたびれてるな。ひびが出とるだろ。」
はい、それはオイルが通るパイプですか?
「んー、ブローバイガスだよ。」
ブローバイガス?んー、なんだろう。後でネットで調べよう。しかし、社長が一つ一つの部品を丹念にチェックしていく姿を見ていると、本当に職人さんだなあと思います。しかし、今日は時間がないのでお先に失礼します。
翌々日工場に行くと…
「治ったよ。」
さすがの社長が嬉しそうにエンジンをかけてくれました。そういえばゆっくり空冷ポルシェのエンジン音を聞いたことはなかったです。
いい音です。空冷ってもっと荒々しい音のイメージがありますが、とてもスムーズです。完調な機械の音ですよね。とても30年前のエンジンだなんて思えない。現役のエンジンですね!
「うん、そうよ。現役やな。」
さすが社長。パーツを換えたわけではなく各部の調整でこんなに調子が良くなるなんて。本当に911の職人です。30年以上前の空冷エンジンがこんなに軽やかに回るなんて。
「運転席座ってみる?」
え?いいんですか?でもこんなチャンスないでしょうからお言葉に甘えて。
ん?これアクセル?踏みごたえはブレーキだけど…。あ、アクセルはずっと右だ。すごく中央にオフセットされてる…。ちょっと軽く踏んでみると…すごい、軽いふけあがり。これが911の魅力の一つなんですね。すごく気持ちいい。いいですーこれ。
E320 W124
ん?こっちにもちょっと懐かしいメルセデスが。とても大事に扱われているW124です。ピカピカに磨いているという意味じゃなくて、相棒という感じ。こちらも現役なんだと思います。
「これも、アイドリングが調子悪かったんよ。こっちはエアフロ替えたら調子よくなったんよ。」
ほんとだ。最新のメルセデスにも負けないくらい快適そうです。
エアフロって高いんですよね…。でもこのオーナー様だったら、こんなに調子よくなった相棒みたら、すごく喜んでいただける予感がします。